北海道車中泊旅行 MAP 2019 発行 by JA北海道
1.長期車中泊用サブバッテリーシステム
サブバッテリーシステムコントローラーヒューズ付バッテリー結線
ディープサイクルバッテリー SEB100 X 2REL-C65-12(類似 REH70-12)
SEB100 X 3
システムを構築するにあたり、一番大事なことは、各所にヒューズを入れ、できるだけ太い電線を使うなど、
安全性に配慮する事です。
特に、全てのプラス(赤色)電線のバッテリー側に相応のヒューズを入れること。
また、圧着端子はカシメ(圧着)だけではなく、必ず、半田付けも行い、その上にスリーブをかぶせる。
まず、サブバッテリーシステムの定義ですが、まずバッテリー容量で、冷蔵庫を24時間使用し、且つその他の機器
(電子レンジ、テレビ、炊飯器、照明、など)も必要に応じて使用しつつ、下記の補助充電は全くしないで、
理想では 3-4 日(少なくとも、太平洋フェリーで名古屋港出港から苫小牧港入港まで耐えられる 2日間 )の車中泊に
耐えられるシステム とします。(放置できる期間)
近年、車中泊旅行の人気で、自分の車に、ご自身がDIYで、サブバッテリーシステムを搭載される方が増えています。
その方法として、簡単に、ポータブル電源(Suaoki G500など)を購入し、車内に持ち込むだけで、サブバッテリーシステムと
呼んでおられる方もあれば、走行充電やソーラー充電を組み入れ、ディープサイクルバッテリー100AH X 2−3本で、
そこそこ のサブバッテリーシステムを構築されておられる方もおられます。
ここでは、おまま事のような気休めシステムではなく、長期滞在、且つ24Hrsの冷蔵庫運転に対応出来るサブバッテリー
システムをご紹介したいと思います。
基本的な考え方:
最高級で大容量のサイクルバッテリー(預金残高)を数多く搭載しても、重量が増すだけで、充電能力(入金)が追いつかなければ、
そのうちに枯渇してしまいます。ここでは、入金を大きくし、預金残高を常にある一定以上にキープできるシステムを
構築したいと考えております。リン酸鉄リチウムイオン電池を採用すると、即解決できますが、年金生活者にとってはなかなか無理なことです。
そこで、考えなければいけないのが、一日当たりの消費電力(出金)の計算です。
24時間動いている冷蔵庫(Engel)は、on/offしますので、連続消費電力を25Wとすると、25W/Hr X 24Hr = 600W、
そのほか、テレビ、DC-ACインバーター(テレビ電波のブースターなど)、照明、炊飯器、短時間の電子レンジ、などを、
約300W とすると、900W + α = 1000W が、大まかな一日当たりの消費電力(出金)、即ち、補充すべき電力(入金)
となります。そこで、具体的な入金方法となるのが、ソーラー充電と走行充電となり、それぞれで、一番有効な充電方法を
模索します。
2.充電方式
A.ソーラー充電
まず、車に搭載可能なソーラーパネルのワット数と枚数を把握、システム自体の変換効率(直列接続でmppt方式の採用)の向上、
太陽光入光効率(設置方法)の向上、パネルの臨時設置で増強など、を研究します。
相当大まかですが、搭載したパネルの合計ワット数の、夏場は約55% (300Wパネルなら165Wとして)、春秋は約20-30%、
冬は5-10%を目安にして、その季節の日照時間(夏8時間、春秋5-6時間、冬2-3時間)を乗じて下さい。
1日当たりに得られる電力量が計算出来ます。 例: 300Wパネルで夏の場合、300W X 0.55 X 8Hrs = 1320W/day
と言うことで、300Wパネルあれば、季節が夏なら、上記条件でも、なんとかやり過ごすことが出来そう、と言うことになります。
充電量を上げるためには、パネルの増設しかなく、車の屋根の大きさ制限から、最大搭載パネル数は決まってしまいますので、
搭載ではなく、長期常駐車中泊の時だけ、マグネットを使ってパネルを車(フロント窓、ボンネット、など)に張り付けるなどして、
臨時増設できるように工夫し、一時的にワット数の増強を行います。但し、初春/晩秋や冬場は、アイドリング(走行)充電が必須です。
奥飛騨 荒神の湯 にて
北海道 枝幸カニ祭り会場 にて
常時搭載 300W + フレキシブルパネルで臨時増設 200W = 合計 500W
但し、動作電流がほぼ同じパネル(+/-5%ぐらい)を採用して下さい。
詳細は、下記の、3.ソーラーパネル・ソーラー充電 を参照ください。
B.走行充電
採用したディープサイクルバッテリーが満充電に必要な電圧に達するよう設計し、部品調達する。
採用したディープサイクルバッテリーが低電圧タイプ(充電電圧14.5-14.7V)なのか(FIAMM など)、高電圧タイプ(充電電圧15V以上)
なのか(G&Yu.ACDelcoなど)、を見極める。
充電電圧が16V前後になると、電極を痛めるとの報告もあり、それは事実だと思いますが、経験からすると、3−4年は大丈夫だと思われます。
電源サイトを利用せず車中泊旅行を継続していくためには、多少の劣化は問題視せず、限られた時間に、少しでも多く有効的に充電することを優先します。
バッテリーの交換間隔が多少短くなるだけです。ベストな充電方法は供給電源に余裕がある時に!
イ.
低電圧タイプ(充電電圧 14.5-14.7Vぐらい)の場合
汎用のアイソレーター、あるいは、昇圧タイプのアイソレーター(更に良し)を使えば、ほぼ満充電が可能と思われます。
ロ.
高電圧タイプ(充電電圧 15V以上)の場合
アイソレーターを使っての満充電は期待できないため、アイソレーターだけを使っての走行充電をあきらめ、アイソレーターの
二次側にDC-ACインバーターを入れ、いったんAC100Vを作り、そのAC100Vで、普段、家庭で使うディープサイクルバッテリー用
充電器(例:オメガ OP-0002など)を動作させ、家庭と同じ方法で充電を行い、満充電を可能にする。
Alternator(main battery)
Isolator SBC-001b
DC-AC Inverter 350W
OP-0002 Charger
Deepcycle Battery
参考Youtube:
3.ソーラーパネル・ソーラー充電
車中泊用としてソーラーパネルを車の屋根に搭載する方が増えてきましたが、100Wぐらいが主流のように見えます。
しかしながら、いざ、長期の車中泊旅行にでると、出発して1週間までに電力不足を必ず感じるはずです。
ですから、走行充電などで、補うことが余儀なくなります。
すなわち、100Wぐらいのパワーでは、気休め程度の充電しかならず、ソーラー充電の恩恵を感じることも少ないです。
搭載可能な屋根の面積制限がありますが、最低でも、300W以上は確保して下さい。
そして、300Wパネル 1枚ではなく、100Wパネル 3枚を直列接続にして、パネルの発電電圧を上げてから、
PWMタイプは絶対に使わず、必ず、MPPTタイプのソーラーコントローラーを採用し、できるだけ高い電圧
(機種により、max pv値 100Vまで、150Vまで、200Vまでの制限あり)で送るようにしてください。
参考Youtube:
写真は Tracer 4215bn
パネルが300Wあれば、サブバッテリーが 100AH/5hrs率 X 2 個 の場合で、エンゲル冷蔵庫や短時間の電子レンジ消費であれば、
夏場なら十分対応可能と思われます。
ただし、冬場だと、パネルが500Wぐらいあっても、厳しいと思われますので、走行充電+アイドリング充電で、
十分な補充電を行ってください。
繰り返しになりますが、ディープサイクルバッテリーを満充電するためには、アイソレーター二次側のDC12Vを、DC-ACインバーター
を使って、一度AC100Vに変換し、そこにAC100V駆動のディープサイクル用汎用充電器(OP-0002、BP-1210など)を使って充電される事をお勧めします。
日産エクストレイルNT30 の屋根に ソーラーパネル 200W 、300W を搭載しました。
なお、取付冶具はすべて自作しました。制作方法、伝授いたします。
200W X 1枚 : パネル幅 808mm パネル長さ 1580mm 高さ 35mm 重さ 14.5 Kg(冶具除く) 費用:パネル込みで約3.2 万円
100W X 3枚 : パネル幅 540mm パネル長さ 1200mm 高さ 30mm 重さ 6.5 Kg X 3 (冶具除く) 費用:パネル込みで約3.8 万円
mt50
14.4V X 19.1A で約275Wを得る。発電効率90%以上(2020.08 北海道弟子屈にて)